たとえ、水が手に入ろうとも。
ただしあなたが吸血鬼なら話は別かも知れません…。
ということで今回は人の欲と言うものを、自己を通して再認識してみます。
欲と言えばまず耳にするのがいわゆる「三大欲求（食欲・性欲・睡眠欲）」だと思うのですが、これらは生理的・本能的欲求ってやつで誰しも普遍的に持っている（とされている）欲ですね。だから、基本的には程度の差はあれ、一定以上の強さはあるでしょうし、度が過ぎない範囲でならばそれを求めるのも別段おかしいと見なされません（ちなみにわたしは睡眠欲＞＞＞性欲＞＞食欲くらいと自己分析しています）。
これらは生存に強く結びついていますので、危機的状況に陥ることの（基本的に）ない日本では満たされないことはあまりありません。一般的な生活を営む上では無視していいレベルのことだと思います。
さて、そうなりますと、日本のような「先進国」で満たされない欲といえば？
…これは細かく見ていけば数限りなくあることだろうと思います。と同時に、細分化すればするほど、その欲に対する人々の執着度の差が激しくなっていくのは容易に想像できます。たとえば出世欲なんてものはわたしにはあんまりありません（出世に対する価値観にもよると思います）。一方で名声欲はおそらく人一倍強いものと思われます。でも大雑把に捉えればこの2者は同じグループに入ると思うわけです。
ただ、そのほとんどどれもが「社会的な」欲であると考えます。「社会的」というのはぶっちゃけた話、「他者との関係が介在してくる」という意味くらいのつもりで使っていますが、「相手がいて初めて意味を持つ欲」だとも言い換えられそうです。前述の出世欲、名声欲のどちらも、「他者がいてこそ」意味を持つ欲ですよね？そしてそこには欲を満たす対象として「より立場の弱い者」があり、欲をかきたてる対象として「より立場の強い者」があるとわたしは考えます。
つまり、先ほどの問いに対するわたしの答えとしては「社会的な」欲ということになります。
わたしたちが飢え渇き、満たされたいと感じる欲を「社会的な」欲とここでは定義しましたが、これに当てはまらない可能性のある例外として、「知識欲」といったものがあると思います。よくある、マッドサイエンティストなお方が世界の存亡を賭けた場面で誘惑に勝てずに何かしらやらかしてしまう、アレです。ただ、純粋な知識欲は非社会的な欲といえる気がしますが、大抵の場合は何かしらの欲を合併してしまうもので、「自己顕示欲」とか「共感欲」と混ざり合ってしまうといわゆるわたしのような「オタク」になってしまいますね。あんまり現実的な話ではないと思います＞純粋な知識欲。
さて、こういった「社会的な」欲を十分に満たしている人は果たしてどれだけいることでしょうね。わたしはあんまりいないと思うんですけど。
というのも、「社会的な」欲は相対的なものですから、誰かが欲を満たす一方で他の誰かは欲をかきたてられる結果になっていると思うわけです。結局、競争・奪い合いなわけです。また、同時に干渉性のあるものですから、相手が受け入れられないモノを振りまくような欲は社会的に是とされないわけで、前述の「自己顕示欲」とかはその最たるものでしょうけども、そういうものを表に出すと周囲の人（=狭い意味での社会ですね）から拒絶されるため胸に秘めておく。もちろん欲求充足が成ることはありません。
奪い奪われ、また、表出させることもためらわれる状況で、その欲が満たされる（満たされ続ける）ことは困難だといえるでしょう。嫌われ者となってもホントの意味で気にならない、そんな人なら可能性はありますかね…。でも、大抵の人はそうはいかず、「人望欲」というか人から良く思われたいとかそんな欲も抱えていますしあちらを立てればこちらが立たず状態に陥ります。そんな中で、まあ優先度の高い欲を、それなりの程度に満たすため、いろいろバランスとりながら生活しているというのが実情ではないでしょうか。
とまあ、ここまでわたしの頭の中だけの想像による仮説に過ぎませんがね。でもすべての欲が満たされる人はいないでしょうし、満たすのをはばかられる欲も確かに存在します。そう考えると実のところは、欲を満たせる「その状況」を持つ者よりも、その「欲を持たない」者のほうが生き易い世の中のようにも感じます。
ここからは、個人的な自身の欲の話。そして表題の意味するところでもあります。
「欲を持たない」性格だったらなーと良く思います（シャレじゃありませんよ）。満たされることのない日々を過ごしていますと一層強く思いますが、結局代替的手段でなんとかしようとしてもまったく解決にはならず、逆に本質的には意味のない代替的欲（わたしの場合は物欲がそうなってきてますね）が肥大する結果に終わります。これでは本末転倒ですがしかたありません。わたしの場合は「名声欲」「自己顕示欲」あたりがかなり高いと自分で思いますが、「人から愛されたい」という欲も高いと思っています。が、「名声欲」は自身の能力の面で期待できず（伸ばすことも諦めてしまいました）、「自己顕示欲」と「人から愛されたい」欲は大抵の場面で矛盾します。そして、矛盾するどちらかが満たされたとして、もう一方は満たされることがありません。
そしてまた、仮にある程度欲を満たされたとして、それでおしまいではないと言うこと。砂漠がいつまでも砂漠であるように、渇ききった砂は水を吸い続けます。欲はとめどなく、肥大は繰り返され、限りがありません。水はいつか必ず尽きます。
意志の力で抑え込めても、欲が消えるわけではありません。欲がなくなったらなあ…そんなことを毎日思います。
…そんな結局はただの愚痴でした。終わり。