わたしはPC自作派ですが、一つのポリシーとして、ケース加工までは手を出さないことに決めていました。
が、静音派閥でもあるわたしにとって、サブPCの音は少々許しがたいレベルで、かねてからケースに大穴開けて大口径ファンを取り付けたいという誘惑もありました。
そんな折、ふと目を覚ましますと、なにやらカラカラという聞き覚えのある異音が耳に届きます。そう、これはサブPCのファンが半固定状態になったために正常な回転が出来ないで起こる音なのでした(ファン自体は問題なく回っていますけども)。
「ああ、またかうぜえ」と思いながら立ち上がったとき、わたしの中には一つの欲望が湧きあがっていたのです。
「ケースに穴開けてファン固定したる!」
ということでジサカーとして一つの壁を越える決意をし、サブPCをバラしにかかります。
ちなみにサブPCはかつてのメインPC、デュアルpen3-Sをこんなケースに移し変えたもので、お役目はファイルサーバー兼Linux勉強(いぢり)機となっています。このケース、microATXクラスのサイズにATXのマザーを載せられるということで買ったものですが、電源の位置が変態仕様なのでマザーを外すにはほぼすべてのパーツをとっぱらうという七面倒なケースです。もっとも今回はケース加工が目的なので鉄屑まみれになるのは目に見えています。すべて外すのが正解なのでしょう。
やっとこ外しまして、ケース天板に穴を開ける構想を練ります(遅い)。
いままでは上部奥側にある空気孔(メッシュ)のすぐ下の空間に、12cmファンをスポンジゴムなどで隙間を埋めながら固定していました。これがズレることで例の異音が発生するわけですが、今回はケースにファン取付け用のビス穴も用意するので問題はなくなるはずです。しかし、それだけでは終われません。せっかく加工するのですから、排気効率の悪い中途半端なメッシュも加工してしまいファンガードのみの風通しの良いケースにしてしまいましょう。
覚悟は決まりました。さっそくドリルを引っ張り出してきて加工開始です。
まずファンの穴開けをするに当たって、穴の位置を決めます。いままでファンを固定していた位置に合わせて、天板側面のフレームにマーキングをし前後の位置を確認します。それからファンを天板の上に出し、マーカーを見ながら位置を決め、取り付け穴の中にドライバーのキリ状のやつを突っ込み、けがきます。4隅とも行い、これでファンの位置は確定しました。
試しということで、さっそくドリルで穴あけです。
じつはわたしはドリルで穴開けるなんてことは初挑戦でして、もちろんこのドリルも自前のものではなく、持ち主である父親に教えられながらの作業であります。ポンチで下準備の凹を付け、まずは細いドリルでよっこらしょ。ところがこの天板、スチールの上にプラがはめてある2重構造で、めんどくさがってそのままやった所、境目で浮き上がってあんまりよろしくない様子。仕方なく分離して(スライドさせることで外れます)それぞれを穴あけ。
2度目の太めのドリルでビスが通る太さの穴があき、ファン取り付けの穴は終了。
次はということで、メッシュの切除に取り掛かります。ここではケース加工の友、ハンドニブラくんの登場です。もともとはこういう用途を見越して買ったのに、ゲーム機関係のケース加工にばかり使われている微妙な子です。
原理は缶切りみたいなもので、上下に動く刃が挟んだ板物を切り取るというものです。サンドイッチを食べると歯型状に無くなるのをイメージするとわかりやすいかも。
これはその構造上、刃である4-5ミリ四方ほどの突起を板面に差し込めないと中に穴が開けられません。そこでメッシュの端、4マスをつなぐ形に穴をあけることにします。ここでもドリルを使用して穴と穴の間を極力減らします。4マスを広げると境目がニッパーでも楽に切断できるほどになりましたので、パチンパチンと切り取り見事始点の穴が完成。
そこにハンドニブラを差し込み、あとはひたすら缶切りのごとく切るべし切るべし!
ということで、以下が途中経過。
こんな感じでメッシュ部分をくり抜いて行きます。
メッシュを完全に抜いた後、やはりファンの形に合わせて開けたほうが効率もよいだろうということで、ファンを型にしてラインを引き、それに合わせてまたもや切るべし切るべし!
少しずつ捻ることで曲線も切れます。
こうしてスチール板は穴が開きましたが、プラ側に移ったところ思わぬ誤算が。
プラの厚みがありすぎて、わずかながらハンドニブラくんの刃が入らない…厚みは確かめなかったぜ…。
しようがないのでもう一つの秘密兵器(?)ホットナイフの登場です。
これははんだゴテの先がデザインナイフほどの刃物になっていて、熱をくわえて溶けた所をナイフが切り分けるというシロモノです。もちろんこれを見越して買っていたわけではありません。100均のプラ物を加工しようと買って、一度しか使ってないものです…。
ぬるーっと溶けていくプラの中をゆーっくり進むナイフの先。じっくり10分ほどかけて、こちらも穴の完成です。
ただしそのままではバリも凄いので、スチール側も合わせてしばらくかけてヤスリがけをしまして、ひとまずこれ↓が完成状態です。自分にしてはまずまずの仕上がり。細目のヤスリでしあげるという考えは元よりありません。
これをスライドさせて組みあわせると、
こんな感じになります。
「さてあとはファンを取り付けて」、というところで大きなミスに気づきます。
ケース内側(天板下面)からファンをつけると取り付け穴の位置が合わないではありませんか!
いままでファンを固定していた位置が天板の中心だと思い込んでいたせいでした。orz
後の写真でわかると思いますが、ファンを固定していた場所というのはHDDを設置するスペースでして、そのために幅を調整するためのでっぱりがあるのでした。で、このでっぱり分のおかげでいままでファンは詰め物のみで固定できていたんですね…。
しかたないので泣く泣くケース外側に取り付けることに。あんまり見栄え良くありませんが、まあ目に入るような位置にないのでよしとします。というか外に出しているHDDをケースの上に固定していたんでもともと見栄えがどうとかいえるもんじゃないんですが…。
で、ファンを外付けしました。
何かのオマケでついてきたファンガードがありましたのでそれも一緒に。
こちらはケース内部からの写真。赤線で囲んだのが例のでっぱりです。この分が中心からずれていたわけですね。
ともかく加工も完了したことですし、部屋に戻って組みなおしと行きましょう。
このケースの泣けるところは組み込む順番を間違えるとCPUクーラーやら電源やらメモリやらを取り外す羽目になるというところです。今回も電源を押し込む際CPUクーラーと干渉しまして、苦労しながらもなんとか外すことなく組み込むことができました。
全組み状態でこんな感じです。
配線もこの際ということで再度整理して、以前よりも余裕のある状態に。
CPUクーラーも、ソケ370時代としては超巨大クラスだったんですが…いまじゃ鼻で笑われる大きさですね。まあおかげでこのケースに収まるんですけどもね。
この下のクーラー、フィン(放熱板)の向きがよろしくないせいで上のヤツより冷えないんですが、
こうしてダクト(?)をつけて左側のファンから吸気をあててやることで同等くらいまで冷えてくれます。
オマケということで、みすぼらしいダクトをアップで。
ちょうどファンの幅にぴったりだったので、左右を厚紙で囲って簡易ダクトに仕立て上げました。固定はファンの側面にブチルゴムテープで接着+厚紙の支えで成り立ってます。
ちなみに、このケーブルはすぐ上のほうでつながってるヤツです。
とまあこんな感じで、初のPCケース加工となりました。
結局のところ、こういう過程も楽しみとなるから自作するんですよね、わたしらは。
そうでもなければ、いまのご時世、高くつく自作はやらないと思うんですよ。
あ、でも、スペックに不満あるのも理由ですね。大体にして拡張性の拡の字もないようなものが大半ですしね、メーカー製って。あとは過去の資産を使いまわせるとかかな。
なんにしても、遊び半分でやるからいいのです、コイツは。